会期
■2021年4月15日(木)- 4月29日(木・祝)
10:00 -18:00 日曜休廊
主旨
代々能とも縁の深い樂家十五代樂吉左衞門(直入)氏が、友人である大月光勲氏がこれまでのご高配に対する御礼として制作された鬼の面と対峙し、面の凄まじい迫力を前に、さらに “鬼の角を切る” 提案をし、それに応えた「夜(や)風(ふう)鬼(き)ー角切りー」。
それは「鬼には角が有る」と云う概念を覆したのみならず、切断痕を残す事によって異化効果を生む能面と転化した逸話を伺い、当代名人同士の呼吸から生まれた “美の結晶” と深く感心した。
本展は、このいきさつに感銘を受けた山本浩二氏と大月光勲氏で、改めて “鬼の角を切るとはどういうことか” 試行錯誤のなかから、本作を前に新たなインスピレーションによる美の創造ができないかと企画された展覧会である。
自然に学び、美のエキスを抽き出す「アナザーネイチャー」、能舞台鏡板制作をきっかけに日本の伝統を模索するなか生まれた「老松」、各シリーズで知られる画家。
世阿弥以来の先達の精神と向き合い、数百年の型の伝統を継承しながら、現代美の新たな創造を目指す当代を代表する能面師。
“名人が名人を知る” 両者の競演が、伝統を現代に生かし未来へ連なる機会になることを期待したい。
本展開催にあたり、ご所蔵作品貸し出し、及びきっかけとなった文章からの引用、にご了解を頂きました樂家十五代樂吉左衞門(直入)様に心より御礼を申し上げます。
永井龍之介
文: 陶芸家 樂吉左衞門 (直入)
『能面花鏡』(求龍堂、2019年刊)寄稿
出版社 書籍紹介ページ
作家プロフィール
KOJI YAMAMOTO
KOUKUN OHTSUKI
「老松(黄)」2021年
4panels×169.5×93.5㎝ カンバスに墨と絵具
「老松(黄)」2021年(部分)
「夜風鬼(やふうき)”角切り”」 22.5×15.5×9.0㎝
檜・胡粉・銅板鍍金・金箔・銀箔・金泥・墨・朱墨
写真撮影:山崎兼慈
「怪ノ女Ⅰ」 21.8×13.4×7.0㎝
檜・胡粉・顔料・銅板鍍金・金泥・墨・朱墨
写真撮影:山崎兼慈
■出品作品
山本浩二
「老松(黄)」四曲一隻 新作
「アナザーネイチャー」新作
大月光勲
創作面 四点
能面 二点