「最も新しくて、最も古いもの、を見せましょう。それを描いて下さい。」
私が千住博氏に示したテーマでした。
その謎の意味は、現在も大地を造り続けている活火山キラウエアと、今から45億年前の地球の大地を形成した活火山がイコールであることを意味しています。
1987年~1992年の5年間わたって、アメリカ合衆国ハワイ州ハワイ島キラウエア火山での取材、オアフ島ホノルル市カハラ地区のアトリエでの制作、を経て完成された「地球創生」をテーマとした大作16点がFW(フラットウォーター)なのです。
キラウエア火山での取材は、千住博、三條、ヘリコプターキャプテン、スタッフの4人によってハワイ島全土をヘリコプターで巡り、計3回行われました。
2回目の取材で、我々は(神の啓示を告げられたが如く)「ワイカプナ」と言う河岸地区に導かれました。3回目の取材はその場所にテントを張って約2週間のキャンプが行われ、大自然の中での生活を通して膨大な数のFWのスケッチが作成されたのです。
後に、この場所はかっての現地人が「聖地とした処」だと知らされました。
また、この取材状況は、NHKやテレビ東京の美術番組で紹介されました。
(ちなみに私も車の運転やコーディネーターとして千住君と一緒に出演しています。)
FWは、私のカハラの家に新築したアトリエ(天井高6メートル、テニスコート1.5面分、鉄筋コンクリート造り)にて描かれました。
作品構成は、150号(162×227㎝)12点、500号(227×324㎝)3点、六曲一双屏風(176×804㎝)1点。
大作のみの13点で、1992年に完成しました。
FWの発表は、1993年6月1日~7月9日
「MAXWELL DAVIDSON GALLERY」
41EAST 57TH STREET NEW YORK , N.Y. 10022
にて個展が開催され、この時の「FW#13」は「NEW YORK GALLERY GUIDE」の表紙を飾り、千住博氏のアメリカ合衆国デビューに花を添えました。(なお、6月2日のレセプションパーティーの様子は、フジテレビの朝のニュースで紹介されました。)
その後、このFWシリーズが影響を与え、ベネチアビエンナーレで千住博作「ザ・フォール」が東洋人初の名誉賞受賞にいたるのです。
アートプロデューサー 三條敬弘