開催イベント
5月10日(土) 15:00~16:00
【対談】
大野正勝(那珂川町馬頭広重美術館館長)・増田常徳/司会:永井龍之介
※定員30名【 事前申込制】
永井画廊まで電話もしくはメールでお申込みください。定員になり次第締め切らせて頂きます。
電話:03-5545-5160 メール:info@nagai-garou.com
展覧会へのメッセージ
近年、絵画が規制概念や軽薄な表現が好まれ流行する中にあって、油絵本来の醍醐味である画家自身の葛藤から絞り出された重厚で艶の在る表現が陰を潜め、美術業界全般が痩せ細ってゆく現実に私たちは直面してはいないだろうか。
豊かな創造芸術の究極は、自然界を貫く神秘的精神性に裏打された幽玄の世界であると想われる。観る者を誘う創造芸術の深淵こそが待たれている、と日々の創作で起る呼びかけである。
Jotoku
主旨
いまこそ増田常徳
1990-91年 パリを拠点にヨーロッパ各地の美術館を訪れました。その中で最も感銘を受けたのが、ドイツで初めて見たフリードリヒ、ベックリンら北方の画家たちです。
当時、私は日記に「~印象派が光など外観を追求したのに対し、彼らは人間の内面を描いている~これこそが求めていた本物の絵画だ~」と記しています。
被爆都市長崎への思いから社会の不条理と向き合い、“混沌たる暗闇の向こうにこそ美を求める”増田先生の作品を前に、ベックリン「死の島」やフリードリヒらドイツロマン派の崇高な精神性に満ちた作品群が眼前に広がり、当時の新鮮な感動が蘇っています。
そしてもう一人偉大な先人葛飾北斎も想起しています。世界的視野から日本のアイデンティティが島国であることを発見したのが北斎です。五島列島生まれという出自にご自身のアイデンティティを見出し、日本人として島=いまの日本を見つめ描かなければならないという先生の切実な思いは北斎と重なります。
いま時代は大きな転換期を迎え、これから本物しか必要とされない社会に向かいます。
確固たる画業から生まれるその作品の意義が今後ますます高まると思います。
いまこそ出番ではないでしょうか。
このたびご縁を頂き、弊廊で初めて個展が開催できますことは誠に幸甚に存じます。
貴重な作品展を多くの皆様にご高覧頂きたくご案内申し上げます。
永井龍之介