会期
■2022年6月14日(火)-25日(土)
10:00~18:00(最終日16:00まで)日曜休廊
君が代の庭
さざれ石が集まり巌となりやがて苔むす。
苔は生命。
宇宙に漂う小石から命が生まれた。
「君が代」は地球が生まれる情景描写だ。
「古事記」の神々は宇宙…天と地が始まった時に現れ、人を生み創った。人は神を崇め、さらに自らが作ったものも付喪神…神とする。全てに霊性あるとは、おおらかな宇宙観だ。畏れと愛情と尊重が一体となっている。
生み出された「もの」には命と死が与えられ、生きなければいけない、そして死ななければいけない。
生きることは他のたくさんの命を頂戴すること。どの命も頂戴されるために生まれたわけではないがその役に当たる命がある。
「よみがえり」とは、世を見てしかるべきところに帰っていくのか、この世を見に帰ってくるのか、皆目わからないが、何かが繋がり巡り必ず世界は続いていく。そこに永遠があるように思う。諸行無常とは
絶望ではなく光なのかも知れない。
千代に八千代に君の代が続けと願うのは、時間ではなく、深い情であるか。
と、つらつらと考えた観念世界を君が代の庭にいる鹿の姿で現した。人の生命に必要なものを全て備えた鹿は人前に現れ、自らの命でもって人の生死を司る、まるで神だ。ただただ無垢で静かに。
フジイ フランソワ
主旨
神職の資格を持ち雅楽奏者でもある日本人画家。
日本人のアイデンティティを追求し、洒脱、ユーモアにあふれた表現で独自の絵画を展開してきた画家が、かねてより構想してきた「君が代」の庭を造りたいという念願が叶った個展開催です。
“さざれ石が集まり巌となりやがて苔むす”
庭のインスタレーションを中心に、日本神話の神々を古来、神の使いとされる“鹿”に重ねた絵画展示は、多くの日本人の心の琴線にふれ、故きを尋ね新しきを知る機会にもなると思います。
本展を通して“日本人のロマン”を感じるひとときを過ごして頂ければ幸いです。
永井龍之介
展示作品
「このはなさくや」「おおげつひめ」「やまさち」「うみさち」など
日本神話の神々たちをテーマとした作品16点
「おおげつひめ」
160.0×80.0㎝ 和紙に鉛筆、墨、胡粉、膠、水彩絵具、アクリル絵具 2022
「このはなさくや-壱」
160.0×80.0㎝ 和紙に鉛筆、墨、胡粉、膠、水彩絵具、アクリル絵具 2022
「このはなさくや-弐」
130.3×73.8㎝ 和紙に鉛筆、墨、胡粉、膠、水彩絵具、アクリル絵具 2022
展示風景
苔むすさざれ石をインスタレーションしています。