Exhibition

展示会

北川健次展 
 -彼らは各々に、何をそこに視たのか。-

会期

■2021年6月10日(木)- 7月3日(土)
10:00~18:00 日曜休廊

※6/10(木)18時~
YouTube動画ライブ配信 “永井美楽塾”
対談 北川健次×永井龍之介

主旨

 棟方志功・駒井哲郎・池田満寿夫は、日本の現代版画史を語る上で最も突出した存在である。彼らの表現は各々に際立った個性を放ち、他を圧した強度な〈美のかたち〉を放っている。しかし、彼らの人生においてはお互いの接点はほとんど無く、各々が独歩の道を歩いて来た。
 70年代が幕を開けてまもなく、銅版画家を志す一人の青年が現れた。当時まだ美術大学の学生であった北川健次である。棟方、駒井、池田、この全く表現のスタイルが異なる三人が、この北川の作品に出会い驚嘆し、共に絶賛の言葉を寄せた事は、一つの興味ある現象といえるかもしれない。
  強烈な美意識を持つ表現者が他者の作品を評価する場合、そこには自らの美への確信、自らの内に潜む美意識の映しをそこに視るという事は歴史が示している通りである。
 銅版画の詩人と言われた駒井は北川の処女作を見て、そこに明らかなるポエジーの発芽を見出し、版画における唯一の表現主義者である棟方志功は、北川の『DiaryⅠ』という作品を見て放心に近い熱い賞賛を示し、池田は22才の北川の全作品を見て、そこに時代を継ぐ確かな才能の出現を確信する。
 …彼らは各々に、何をそこに視たのか。本展は、棟方、駒井、池田、北川の各々の代表作を展示する事で、今まで語られなかった現代版画史の深部に光を当て、彼らのより内部に潜む際立った美の真髄を探り、版画にしか出来ない表現とは何かを具体的に問う展覧会である。

永井龍之介


出品作品

◎北川健次版画作品約20点

◎棟方志功、駒井哲郎、池田満寿夫 各版画作品1点

オフィシャルサイト

北川健次オフィシャルサイト

作家プロフィール

北川 健次

KENJI KITAGAWA

1952年
福井県生まれ 多摩美術大学大学院美術研究科修了。
駒井哲郎に銅版画を学び棟方志功、池田満寿夫の推挽を得て作家活動を開始。
1975年
現代日本美術展ブリヂストン美術館賞受賞。
1976年
東京国際版画ビエンナーレ展(東京国立近代美術館)、1981年リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展に招待出品。
1990年
文化庁派遣芸術家在外研修員として渡欧。
1993年
来日したクリストによりオブジェ作品の賞賛を得る。
2008年
ランボーを主題とした作品が、ピカソ、クレー、ミロ、ジャコメッテイ、ジム・ダイン、メイプルソープらと共に選出され、フランスのアルチュールランボーミュージアムにて展覧会が開催される。
2010年
パリ市立歴史図書館にて開催された『RIMBAUD MANIA』展に招待出品。
2011年
福井県立美術館において、約200点の作品からなる大規模な展覧会「北川健次ー鏡面のロマネスク」展を開催。
2018年
これまでの全業績に対して第56回歴程特別賞を受賞。
 
銅版画とオブジェとコラージュの分野における第一人者的存在。
パブリック・コレクション

国立国際美術館・アーティゾン美術館・東京オペラシティ・東京都現代美術館・神奈川県立近代美術館・埼玉県近代美術館・うらわ美術館・栃木県立美術館・町田市立国際版画美術館・福井県立美術館・東広島市立美術館・池田満寿夫美術館・和歌山県立近代美術館・徳島県立近代美術館・宮崎県立美術館・熊本市現代美術館・渋谷区立松濤美術館・広島市現代美術館・須坂市版画美術館・高松市美術館・長野県信濃美術館・大分県立美術館・エルスール財団記念館・執行草舟コレクション 戸嶋靖昌記念館・アルチュールランボーミュージアム(フランス)他

棟方 志功

SHIKO MUNAKATA

1903-1975
日本を代表する木版画家。青森生まれ
少年時代ゴッホに感動し、「わだばゴッホになる」と絵描きを目指し上京。
国画展出品「大和し美し」(1936)が出世作となり、柳宗悦、河井寛次郎らと民芸運動。
1956
ヴェネツィア・ビエンナーレ版画部門 日本人として初めて国際版画大賞受賞。
1969
毎日芸術賞
1970
文化勲章
20世紀の巨匠として世界的にも評価される。

駒井 哲郎

TETSURO KOMAI

1920-1976
1935
慶應義塾普通部在学中の1935年、日本エッチング研究所にて銅版画を学ぶ。
1938年、東京美術学校入学。
1950
春陽会に銅版画出品。
1951
第1回サンパウロ・ビエンナーレコロニー賞受賞。
1954-55
フランス留学。
1956
南画廊開廊記念展で個展。
1970
多摩美術大学に着任。翌年東京藝術大学に転任。
1972から初代版画担当の専任教授。数多くの銅版画家を育てた。

池田 満寿夫

MASUO IKEDA

1934-1997
国際的版画家、画家、彫刻家、陶芸家、芥川賞作家、エッセイスト、映画監督など多彩な顔をもつ芸術家。
東京国際版画ビエンナーレ展連続受賞(第1回~第4回)
1965
ニューヨーク近代美術館で日本人初の個展開催
1966
ヴェネツィア・ビエンナーレ版画部門国際大賞受賞

「DiaryⅠ」

49.5×37.5cm エッチング・アクアチント・ドライポイント
ED.20/A.P2 1974年

「F・カフカ高等学校初学年時代」

66.0×48.0cm エッチング・アクアチント・フォトグラビュール
ED.50/A.P10 1987年

「肖像考-Face of Rimbaud」
(版画集『反対称/鏡/蝶番-夢の通路 Véro-Dodatを通り抜ける試み』より)」

38.0×28.5cm エッチング・アクアチント・フォトグラビュール
ED.日本48/仏35/A.P12 2004年

棟方志功  善知鳥版画巻「夜訪の柵」(うとうはんがかん「よどいのさく」)

25.9×28.8cm 木版墨摺 
昭和13年(1938)年板・後年摺

駒井哲郎 「教会の横」

15.7×11.1cm エングレーヴィング、ドライポイント(雁皮刷り)
Ed25 1955年 第33回春陽展出品(1956)

池田満寿夫「感傷旅行」

40.5×36.5cm エッチング、ルーレット、メゾチント、ビュラン
Ed.50 1970年

若き銅版画家への手紙 池田満寿夫(1/2)

北川健次版画展(番町画廊1976年10月18日-28日)初個展案内状序文より

若き銅版画家への手紙 池田満寿夫(2/2)

66.0×48.0cm エッチング・アクアチント・フォトグラビュール
ED.50/A.P10 1987年

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