オープン記念企画 第三弾
「鑑定団」が発掘した画家展 ―牧野義雄・髙島野十郎―
会期:2009年1月13日(火)~2月13日(金) 11:00~18:30(日・祝休)
銀座開廊4つのキーワードのひとつ“鑑定団”。
1994年番組スタート以来、高視聴率で多くの皆様からご支援を頂いています。絵画、掛軸、焼物、西洋アンティーク、おもちゃ等全国各地にある数多くのお宝、日本文化の懐の深さを実感しています。鑑定団から学んだことは、美術界の枠のなかだけでは見えない広い世間です。埋もれている画家、作品は数あるのではないでしょうか。
今後、鑑定団で話題になった画家をはじめ、埋もれた画家の発掘、近代美術の再検証などの企画を考えています。
本展はその嚆矢です。美術界でも知る人ぞ知る画家であった牧野義雄、髙島野十郎の作品が番組に登場し、以後大きな話題になっています。
◆牧野義雄
(1869-1956 愛知県豊田市生まれ 在英国45年 鎌倉で没)
牧野義雄は、20世紀初頭ロンドン社交界で“霧のマキノ”と絶賛された画家で、最も著名な日本人でした。しかし、戦争で帰国後日本では不遇のうちに生涯を終え、近年まで美術界でも埋もれた存在でした。
2年前「鑑定団」に水彩作品「雨のBBC放送局」が登場し、大きな反響がありました。
霧にけぶる夜のロンドン、行き交う人々のざわめき、ガス灯のほのかな明かり、かすかに見えるBBC放送局、当時のロンドンを象徴する光景が瑞々しく情緒豊かに描かれていて、ホイッスラー、ロートレックらに通じる気品、格調があり、高評価をしました。本物はいつの日か評価される時が必ずくるということを実感しています。
出品予定作品(いずれも販売)
眺めるバッキンガム宮殿」
◆髙島野十郎
(1890-1975 福岡県久留米市生まれ 千葉県野田市老人ホームで没)
髙島野十郎は、ここ20年美術館で紹介され認知されてきましたが、放映をきっかけに、生涯無名の画家として孤高を貫かれた生き様と画業により大きな注目が集まっています。
3年前番組に登場した油彩作品「睡蓮」。重厚なマチエール、丹念な細密描写で陰影を生かした水蓮の存在感、水草の繊細さ、水の揺らぎをセンスある画面構成、哲学の素養、対象を真摯に見つめる透徹した眼で描いた本作は、静寂感があり、深い精神性を感じさせます。
髙島作品の真の評価がこれから始まるのではないでしょうか。
出品予定作品(いずれも非買)
以上
永井龍之介
次回の企画展
2009年1月・2月