「仮山」その昔、庭園を「かざん」と呼んだ時代があった。「かりのやま」とは、自然の山を見立てた
築山を意味し「自然」を手本にデザインして作られた庭のことだ。しかし作られた自然は四季の力を借りて生き物のように色や表情を変えてゆく。
庭園から着想した私の作品に現す色は、絵具や水、空気、そして重力、表面張力など自然現象の力を借りて生まれてくる。それは繊細であるべき日本の色彩のようであってほしい。自然の力で「描いてもらう」それはまさに「仮山」のようだ。流れる水や空気、土に形がないように容易には構築されない、しかし強く映える自然の景色のような「絵画のありよう」を求め制作を続けている。そして「仮山」は名乗る事のない雅号として常に心に秘めている。
尾形 純
古来伝わる日本の伝統色は、絵画、工芸だけではなく詩歌、文学から四季折々の季節感、暮らしの生活感まで、日本人の美意識の根底に根差している。
尾形純は、多忙な日々の生活や騒々しいネット社会の現代において、忘れがちなそうした繊細、情緒的な美意識を蘇らせてくれる、貴重な絵画制作を続けている。
今回のテーマは“仮山”。築山に自然を託す日本人の自然観と“日本の色”との共鳴から生み出される洗練された美が展開する。鑑賞者各人にとっての“日本”を感じて頂ければ幸いだ。
永井龍之介
■2019年9月17日(火)-10月4日(土)
11:00-19:00 日曜・祝日休廊
〈9月17日(火)16時-19時 10月4日(金)11時-17時〉
■9月21日(土)
16:00-17:00 対談(尾形純・永井龍之介)
17時-18時30分 ワインパーティ
他、計十数点
1995
1997-98
2004
2015